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田楽(でんがく)

稲作に関する諸芸能の総称。狭義には職業芸能者である田楽法師が演じた田楽踊を中心とする芸能をさし,広義には田植をはやす楽,予祝の田遊び,風流(ふりゅう)田楽を含む。田植をはやす楽は「栄花物語」にみられ,祭礼での専業者による田楽も平安末期成立の「日本紀略」に記される。田楽踊では編木(びんざさら)・締太鼓・銅拍子・笛などの楽器を用い,散楽(さんがく)系の高足(たかあし)・刀玉(かたなだま)などの曲芸も交じえた。1096年(永長元)京洛に爆発的に流行した永長の大田楽は,都人が田植や田楽法師をまね,飾りたてて練り歩いたもので,風流田楽とされる。鎌倉中期以降は田楽法師のワキ芸であった物真似の芸が発達し,田楽の能として一忠(いっちゅう)などの名人が輩出した。現在も民俗芸能としてさまざまな田楽が伝承されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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