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都城制(とじょうせい)

日本古代に採用された首都の基本構造。天皇の住いや官衙(かんが)を中心とする宮城と,条坊が施行されて官人をはじめ民衆の居住区となった京とで構成された。ふつうこの両者を備えたものを都城という。記紀や金石文によれば,日本では5世紀にはすでに「宮」が存在したと推定されるが,条坊をともなう京の出現は7世紀後半である。改新の詔にうかがわれる難波京や天武朝の倭京に日本の都城制の完成をみる見解もあるが,持統朝の藤原京ではじめて成立し,平城京で本格的に展開したとするのが通説である。この形式は中国の都城の制にもとづいたもので,とくに隋・唐の長安城や北魏の洛陽城の影響が考えられるが,城郭が発達しなかったことや宅地が一律に班給されたことなど,日本独自の性格が示されている。都城の成立とともに中国に匹敵する儀式空間が創出され,また都城の形成は律令制度そのものの成立,すなわち天皇を中心とする中央集権体制と官僚制の整備にも密接に関係していた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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