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常磐津節(ときわづぶし)

豊後節系浄瑠璃の一つ。常盤津節と書いたこともある。江戸中期の幕府による豊後節の弾圧後,弟子の常磐津文字太夫が1747年(延享4)に語り始めた。歌舞伎音楽の一つで,中棹(ちゅうざお)三味線を使い,三味線2人,浄瑠璃3人の2挺3枚を原則とする。演奏家には常磐津・岸沢の2姓がある。浄瑠璃の発声は自然で,言葉の自然な抑揚を重視し,清元節にくらべ語りの性格が強い。1曲のなかでのテンポはほぼ一定しているが,曲の終結部分で急激にテンポを早くする傾向がある。旋律法には義太夫節の影響も多い。代表作に「将門」「関の扉(せきのと)」「戻駕(もどりかご)」「蜘蛛の糸」などがあり,市井の風俗を描いた「乗合船」「屋敷娘」「年増」,義太夫狂言をとりいれた「梅川」「お三輪」や,大作「三世相錦繍文章(さんぜそうにしきぶんしょう)」もよく知られる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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