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統帥権干犯問題(とうすいけんかんぱんもんだい)

1930年(昭和5)ロンドン海軍条約締結の過程において展開された統帥権の解釈をめぐる論争。浜口内閣は対英米実質7割の兵力量をもって条約締結を決意,4月1日政府回訓案を閣議決定したが,第58議会で野党の立憲政友会は,海軍軍令部長の反対を退けての回訓案決定は統帥権を犯すもの,と政府を攻撃した。兵力量決定の主体が海軍省にあるか,国防計画策定の権限をもつ海軍軍令部にあるかをめぐり,野党は条約反対派と連携しつつ政府を追及し倒閣を目論んだ。政府は兵力量の決定は海相の権限とする立場を貫き,元老・重臣や海軍長老の支持を背景に10月2日条約批准にこぎつけたが,その後,海軍軍令部の権限拡大に道を開く結果となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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