問屋(といや)
�@近世宿駅の宿役人の長。問屋場で年寄の補佐のもと,帳付・馬指(うまさし)などを指揮して宿駅業務を遂行する。名主などの地方役人・町役人を兼務することが多い。�A「とんや」とも。江戸時代に発達した商品流通機構において,倉庫業を兼務して生産者・荷主と仲買・小売商人の売買・取引を仲介する商人。自己資金で取引せず,荷主から預かった商品を保管し,販売を委託され口銭を受け取る荷受問屋や,自己資金で商品を購入し仲買や小売商人に卸売りを行う仕入問屋,また海上輸送を請け負う廻船問屋などがある。国問屋・諸色(しょしき)問屋などの荷受問屋や廻船問屋の方が,中世の問丸に通じる問屋本来のあり方だが,しだいに特定の商品を扱う専業の仕入問屋が多くなり,生産地や買付けを担当する仲買に資金を前貸しするなどして,商品流通の中枢を担った。近代以降は店舗を持つ卸売り商人を一般に問屋とよぶようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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