漆紙文書(うるしがみもんじょ)
漆の状態を良好に保つために漆に文書の反故(ほご)でふたをしたため,その紙に漆がしみこんで地中に遺存したもの。1978年(昭和53)宮城県多賀(たが)城跡ではじめて発見されたが,その後全国各地の遺跡からあいついで出土している。都以外で発見される漆紙文書には,中央へ上申される以前の行政文書が数多く含まれており,地方における実態を詳細にものがたっている点で,きわめて貴重である。また,「戸番」(1郷=50戸にもとづき,戸主それぞれに1~50の番号を付す)つきの兵士歴名簿や,8世紀末の常陸国の人口を22万4000~24万4000人と推計することのできた戸口集計簿など,これまで知られていなかった新たな種類の文書も数多く発見されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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