浦島太郎(うらしまたろう)
室町物語の異国物。作者不詳。室町時代に成立。「御伽草子」の一編。丹後の浦島太郎が磯で釣った亀を助けると,翌日美しい女房の乗る小船が漂着する。太郎は小船に乗り竜宮に行き,女房と結婚し3年を送るが,望郷の念にかられ暇を乞う。女房は自分が助けられた亀だと明かし,けっして開けないようにといって玉手箱を形見に渡す。帰郷してみると700年がたっており,太郎は悲しみのあまり箱を開けると煙が立ちのぼり,老翁の姿に変貌する。太郎は鶴となり蓬莱山で亀と再会,浦島明神となって現れる。浦島伝承を物語化したもので,浦島明神の本地譚(ほんじたん)がつけ加わるところに室町物語としての特徴がある。「日本古典文学全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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