1. 用語
  2. 日本史 -う-
  3. 宇津保物語(うつほものがたり)

宇津保物語(うつほものがたり)

平安時代の物語。20巻。作者・成立年未詳。鎌倉時代から源順(したごう)を作者とする説が多いが不明。天禄~長徳期(970~999)頃に書き継がれたらしいので,作者は複数とみる説もある。成立過程が複雑なため,初期に書かれた部分と後期の部分では方法も文体も異なり,主題も分裂ぎみである。琴の霊力を伝承する俊蔭(としかげ)一族の流離と栄華の物語を一応の軸として,貴宮(あてみや)をめぐる求婚や立后争いが描かれる。求婚者の多様な人物像および摂関政治最大の問題を描くことは,当時の貴族社会の現実の物語化でもあった。日本最初の長編物語であり,「源氏物語」などへの影響も多大。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう