雨月物語(うげつものがたり)
江戸中期の読本。5巻。上田秋成作,桂眉仙画。自序によれば1768年(明和5)成立。76年(安永5)刊。9話すべてが独自の和漢混淆文による短編の怪異譚。本邦怪異小説史上の最高傑作,かつ前期上方読本を代表する名作。漢学(医学も)の師都賀庭鐘や国学の師加藤宇万伎(うまき)の影響もあり,中国の小説や故事と日本の古典や故事を巧みに組み合わせて典拠として取り入れ,その重層的な構成のなかに人間の哀しみ・怒り・憤りといった感情を主題とし,秋成独自の文章で描写する。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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