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和漢混淆文(わかんこんこうぶん)

和文体と漢文訓読体が混ざった文体をいう。概念の定義は従来かならずしも厳密ではなく,研究者の間でも差異がある。通常,典型的な和漢混淆文としては,鎌倉時代以降の「平家物語」「保元物語」「太平記」などの軍記,「海道記」「方丈記」などの紀行・随筆,謡曲・幸若舞(こうわかまい)の詞章などをあげることが多い。実際には漢文訓読体としての要素のなかには変体漢文的なものもみられ,また和文的要素のなかには雅語のみならず俗語的表現もみられる。和漢混淆文は江戸時代には広く行われ,実際に書かれる文章の多くの部分を占めたものと考えられる。明治期になり言文一致体の成立と流行によってようやく衰え,最近ではごく限定された場合にのみ用いられるにすぎない。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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