1. 用語
  2. 世界史 -あ-
  3. アルゼンチン

アルゼンチン

Argentina 現地音ではアルヘンティーナ。南アメリカ大西洋岸南部の連邦共和国。中央部のパンパ(大平原)の先住民は狩猟民で,貴金属資源がなかったため,長期間ペルー副王領の僻地として放置された。しかし,18世紀後半から,牛皮の生産増大によって,折から商品市場を求めていたイギリス人の関心をひき,密貿易が盛んになった。また,ブラジル在住のポルトガル人の南進に備えるため,1776年ラ・プラタ副王領がペルーから分離された。1806~07年ブエノスアイレスに侵攻しイギリス軍を壊滅させて自信をつけたクリオーリョたちが,南アメリカの独立運動でも積極的な役割を演じ,16年7月9日リオ・デ・ラ・プラタ州連合が独立,これが62年連邦共和国になった。独立後,全面的にイギリスの経済的影響下に入ったが,70年代からヨーロッパ資本によるパンパの開発が始まり,牛肉と小麦の輸出によって巨大な富を獲得した。また多数のヨーロッパ移民を受け入れ,ウルグアイとともに白人国となった。しかし,伝統的な地主層と台頭する都会中産階級の間に政治的軋轢(あつれき)が絶えないため,政情は安定せず,第二次世界大戦後,民族主義的政策を掲げるペロン時代(1946~55年)の経済政策の失敗後は経済が低迷し,ペロン派と反対派の対立が続いた。76年から7年間軍政の強権をへたのち,83年民政に復帰したが,経済危機は深刻化の一途をたどっている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう