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朝鮮(ちょうせん)

朝鮮半島および周辺の島嶼からなる朝鮮民族の国。半島の歴史は,戦国から秦漢期にかけて半島西北部に移住定着した中国人がつくった植民国家である箕子(きし)朝鮮,衛氏(えいし)朝鮮に始まる。朝鮮の名もここに起こった。コーリア(Korea)の称は高句麗(こうくり),高麗(こうらい)の国号に由来する。中国の支配は武帝の楽浪郡の設置(前108年)以来定着し,約400年持続したが,この間漢文化の移植が半島住民の国家的活動を促した。東北に扶余(ふよ)族の高句麗が興り,南下して楽浪郡を滅ぼし(313年),同じ頃帯方郡を滅ぼした南方の韓族からは,三韓時代をへて,百済(ひゃくさい),新羅(しんら),加羅(から)諸国が成立し,562年の加羅滅亡(562年)後は,上記3国が半島に鼎立した。7世紀,百済,高句麗は唐・新羅の攻撃で滅び,新羅が北部を除き,初めて半島に統一国家を形成した。9世紀に新羅分裂のあとを再統一した高麗王朝は,半島西北部を開拓したものの,13世紀以降モンゴル軍の侵略と重圧に衰え,14世紀後半,元・明交替期のなかに半島には朝鮮王朝が成立した。朝鮮王朝は明・清に服事しつつも,東北部を領域化し,現在の国境線をほぼ画定し,単一民族文化の様相を提示した。1910年日本の支配下に入ったが45年独立し,現在の大韓民国,朝鮮民主主義人民共和国が成立した。朝鮮民族の歴史は,その地理的位置から,大陸勢力の侵入と圧迫の連続であるが,一方その制約下にあって中国文化を受容しつつ,農耕文化を持つ南方韓族の北方への絶えざる発展と民族国家形成の姿である。朝鮮語はアルタイ語の一系統で,特異な字母文字(ハングル)を持つ。宗教では仏教や儒教のほか,民間信仰に特色あるシャマニズムもみられた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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