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ブラジル

Brasil[ポルトガル],Brazil[英] 南アメリカ大西洋岸の大国。連邦共和制をとる。熱帯林に適応した根菜栽培民や狩猟民が住んでいたが,1500年ポルトガルのカブラル艦隊が接触,1494年のトルデシリャス条約によってポルトガル領となった。委託制度による開発が失敗し,1549年北東部のサルバドルに首都を置く総督制をとった。16世紀後半からアフリカの黒人奴隷を使役してヨーロッパ市場向けの砂糖を生産する大農園が発達した。1630~54年北東部がオランダ人に占領され,オランダ人が製糖技術をカリブ海地方に伝えたため,17世紀後半から製糖業にかげりが生じた。93年ミナス・ジェライスにおける金の発見によって未曾有のゴールド・ラッシュが起こり,1720年総督は副王に格上げされ,63年首都はリオ・デ・ジャネイロに移された。ブラジルの独立は中南米の他国とは異なり,1822年帝国として独立した。88年奴隷制廃止,翌89年共和制に移行した。19世紀はゴムついでコーヒーの生産で経済的繁栄の時代となり,多数のヨーロッパ移民がサンパウロ州を中心に入った。日本からの移民も1908年に始まった。コーヒー経済の危機は,ヴァルガスの「新国家」体制の引き金となった。第二次世界大戦後の急速な工業化に伴う経済的変動は政治状況の不安定を生み,64~85年の軍事政権時代を経験して,85年民政に復帰した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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