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福祉国家(ふくしこっか)

welfare state 社会保険制度の運営,労働基準の監督,生活困窮者の救済,低所得者層の福利厚生,勤労者の雇用機会の維持などの役割を果たす国家をいう。20世紀に入ると資本主義国では,共産主義国ソ連の出現,社会民主主義政党の主張や労働組合運動の要求に対処するため,保守政党や資本家にも福祉政策の必要が認識されたが,福祉国家という理念がつくられたのは,1930年代の経済不況の時代をへた後である。西側諸国は第二次世界大戦後の経済発展とともに,福祉政策の拡充に努めた。70年代に先進国経済の高度成長期が終わると,福祉経費の増大が政府財政の重荷になり,肥大した福祉政策への中流有権者の反発が生じ,自助の精神の回復を説く保守政治家が登場し,80年代以降,福祉政策の選別,事業の民営化など福祉政策の見直しが進められる時代となった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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