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パレスチナ問題(パレスチナもんだい)

パレスチナをめぐるアラブ人(パレスチナ人)とユダヤ人,アラブ諸国とイスラエルの対立に関する総称。パレスチナでは17世紀以降,オスマン帝国の統治下で主としてアラブ人が居住していたが,19世紀のシオニズム伸張の結果,ユダヤ人のパレスチナ移住が促進された。一方イギリスは,第一次世界大戦中に戦局を有利にするため,ユダヤ人とアラブ人にそれぞれフサイン‐マクマホン書簡,バルフォア宣言でパレスチナにおける戦後の建国を約束した。戦後,パレスチナはイギリスの委任統治下に入るが,ユダヤ人の流入でアラブ系住民との衝突が激化したため,イギリスは委任統治を放棄,1947年国連総会はパレスチナをアラブとユダヤの国家に分割する決議を採択した。アラブ諸国はこれを拒否,翌年同決議にもとづきイスラエルが建国されると,同国に進攻した(第1次中東戦争)。しかし4度にわたる中東戦争でも事態は解決せず,79年エジプトがイスラエルと単独平和条約を締結した。アラブ側の戦闘の主体は徐々に国家からパレスチナ解放機構(PLO)などパレスチナ人組織に移り,87年から民衆蜂起(インティファーダ)が始まり,翌年PLOは独立を宣言した。湾岸危機をへて,91年,マドリード会議(中東和平会議)が開催され,93年には暫定自治合意ができ,ガザ地区などでパレスチナ人による自治政府が活動を開始した。しかし,難民問題,イェルサレムの地位など未解決の問題が多い。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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