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ハイドゥク

hajduk オスマン帝国の統治を嫌って,バルカン各地の森に逃げ込み,キャラヴァンを襲い物品を奪って生業とした匪賊(ひぞく)。セルビアとルーマニアではハイドゥク,ブルガリアではハイドゥティン,ギリシアではクレフティスと呼ばれた。バルカン各地に伝わる口承文学の英雄叙事詩のなかでは,義賊として描かれることが多い。キリスト教徒農民をハイドゥクに駆り立てた主要な動機は経済問題であった。オスマン帝国支配下で旧来の生活を破壊された農民がアウトローとなり,社会的・経済的な抑圧に対する反抗の意思を表明。しかし,ハイドゥクの行動はオスマン帝国の統治に対する「民族的」な抵抗とはいえず,生活圏への侵入者に対する農民たちの原初的な抵抗であった。18世紀後半に至ると,ハイドゥクの行動はしだいに「民族」運動の色彩を強めた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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