ペルー

南アメリカ中部の太平洋岸の共和国。かつてアンデス文明が栄えたが,その頂点であるインカ国家を征服したスペイン人が建設したペルー副王領が基礎となり,19世紀初めのクリオーリョの独立運動によって成立した。独立宣言は1821年7月,サン・マルティンによって行われた。独立後はカウディリョの抗争が続いたが,ラモン・カスティリャの時代に国家体制は一応整備に向かった。しかし国家財政は,グアノ(海鳥の糞。肥料に使われた)や銅の採掘権を外国に与える利権料で大部分賄われた。1879年硝石(しょうせき)資源をめぐって太平洋戦争が起こり,チリに敗北して南部の領土を失った。20世紀に入ると社会主義運動が起こり,また革新政党としてアプラ党が誕生して,軍部と対立し第二次世界大戦後まで跡を引いた。1968年穏健な革新政党のベラウンデ政権を倒した革命軍事政権は,徹底した農地改革を行ったのち,基幹産業の国有化などを図ったが,成功を収めなかった。アプラ党のガルシーア政権(1985~90年)のもとで発生したハイパーインフレや極左ゲリラを,90年に立ったフジモリ大統領が押えることに成功したが,側近の汚職問題などで,2000年11月解任された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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