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平和運動(へいわうんどう)

平和運動が国際化したのは19世紀末である。再度にわたるハーグ平和会議の議題や合意には,民間平和団体の主張がある程度反映した。平和団体の運動や,反戦を標榜した社会主義インターナショナルも第一次世界大戦の防止には無力だったが,戦後には国際連盟の設立など戦前からの平和運動家の主張が実現した。両大戦間期の海軍軍縮やパリ不戦条約も,平和運動家に希望を与えた。国際秩序崩壊の兆しがみえた1933年にオクスフォード大学学生連盟は不戦決議を行い,翌年には1000万人を超えるイギリス市民が平和投票に参加した。しかし,平和主義はやがてファシスト国家の勢力拡張を助長する結果になったため,平和運動家はジレンマに直面した。第二次世界大戦後の平和運動は冷戦下,核軍拡競争が始まった50年代に,核兵器の禁止を訴えたストックホルム・アピール,科学者の立場から戦争廃絶を求めたラッセル‐アインシュタイン宣言,それを受けて開かれた科学者のパグウォッシュ会議などの形をとって展開し,日本でも原水爆禁止を国際的に呼びかける運動が始まった。ベトナム反戦運動のように具体的な戦争への反発に触発された運動もあったが,20世紀後半の平和運動は主として核軍拡や核拡散に対処するために展開された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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