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ボヘミア

チェコ西部の歴史的地名。チェコ語ではチェヒ,ドイツ語ではベーメン。呼称はケルト系のボイイ人に由来する。住民の大半はスラヴ系チェコ人ながら,多くのドイツ人も居住し,常にドイツ文化圏に所属。10世紀以降神聖ローマ帝国に属し,チェコ民族王朝プシェミスル家の支配でキリスト教を受容し,ルクセンブルク家のもとで飛躍的に発展した。その背景には14世紀以来,西部・北部などでのドイツ人の大量植民があった。彼らは,都市建設,鉱山開発などに多大な貢献をしたが,のちに宗教・民族問題を惹起させた。15世紀のフス戦争の中心となる。16世紀から1918年まではハプスブルク家の支配下にあった。三十年戦争の勃発地として戦火に見舞われ,宗教的迫害を受けたチェコ人の大量の移住で荒廃するが,18世紀には王家の重要な工業地域となった。19世紀前半に民族的再生運動を経験し,世紀後半以降にはチェコ人とドイツ人の主導権争いの主要舞台となった。ハプスブルク家支配が終焉した1918年以降はチェコスロヴァキアの,93年以降はチェコの中心地域となった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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