殷(いん)

Yin 商ともいう。前16世紀頃~前11世紀の中国古代の王朝。伝説では大乙(たいいつ)(湯王(とうおう))のとき夏を倒して王朝を創め,第30代帝辛(ていしん)紂王(ちゅうおう)のとき周に滅ぼされた。前半の史実は不明で,第19代盤庚(ばんこう)以後の都とされる殷墟(いんきょ)が発掘によって明らかとなった。殷人は国都の商(大邑商(だいゆうしょう))の周辺黄河中流域の諸族を支配する部族連合国家を形成していた。王位は初め兄弟相続,のちに父子相続に変わった。殷王は祭祀諸政を占卜(せんぼく)によって決する神政政治を行い,王のもとには氏族制による王族・貴族集団があった。これら支配階級は高度の青銅器文化を持ち,軍事を担当し,氏族奴隷を農耕や家事に使っていた。殷墟時代の主業は石器,木器などを使った農業とされる。その交易圏はモンゴル,華南,東南アジアに及んでいる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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