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イル・ハン国(イル・ハンこく)

Il Khan 1258~1411 フレグ・ウルスともいう。モンゴル帝国の諸ハン国の一つ。始祖はチンギス・カンの孫フレグ。1258年,アッバース朝を倒し,イラン北西のマラーガ,のち,タブリーズを都として建国した。地中海岸からアム川までを領有したが,元朝を宗主国として戴いた。初めはローマ教皇,キリスト教国と結んでマムルーク朝と争ったが,モンゴル人イスラーム教徒が増加したので,ガザン・ハンの治世(1295~1304年)にイスラームを国教とし,モスク,神学校などを建てた。歴史家で『集史』の著者でもある宰相ラシードゥッディーンの輔弼(ほひつ)のもと軍制,税制などを改革して財政を再建し,イル・ハン国の黄金時代を築いた。のちハン位争いと有力貴族の跋扈(ばっこ)のため国勢が衰え,チンギス・カンの子孫が絶えた(1353年)。王統が臣下のジャライル家,チューパン家などに移ったのち,ティムールに征服された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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