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キリスト教(キリストきょう)

Christianity[英],Christentum[ドイツ],christianisme[フランス] イエス・キリストの人格と教えを中心とする宗教。イエスは十字架の刑に処せられたが,3日目に復活し,彼をメシアすなわちキリストとする信仰が生まれ,原始キリスト教団が成立した。やがてパウロがローマ世界に宣教した。ローマ帝国の迫害は,時期も地域も限られていた。しかし3世紀中頃以後,帝国の全般的・組織的迫害が行われ,多くの殉教者を出した。ディオクレティアヌス帝の大迫害が失敗に終わり,コンスタンティヌス大帝はキリスト教を公認した。その後の論争でアタナシウス派が正統の地位を占め,アリウス派は異端と宣言され,ゲルマン民族内に広まった。4世紀末テオドシウス1世によりアタナシウス派がローマ帝国の国教となった。やがてローマ教会がカトリックと称して有力となり,同司教は教皇としての尊称と権威を持つようになった。西ローマ帝国の滅亡後,ローマ・カトリック教会はフランクとの結びつきを強化,カール大帝に帝冠を授けた。他方,東ローマ皇帝に支持されたギリシア正教会と対立し,1054年には両教会はまったく分離した。ギリシア正教は東欧,ロシアに広まったのに対し,カトリックはヨーロッパに広まり,インノケンティウス3世のときに教権は絶頂に達した。カトリック教会を内部から支えたのは修道院で,6世紀ベネディクトゥスによって創建された。13世紀初めにフランチェスコ,ドミニコの托鉢(たくはつ)修道会が起こり,民衆に愛の教えを説き,やがて文化活動にも進出した。11世紀末に始まる十字軍は失敗し,教皇権は衰退に向かった。ついに16世紀,ルター,カルヴァンなどによる宗教改革が起こって新教(プロテスタント)が西ヨーロッパ,北ヨーロッパに広まり,イングランドではヘンリ8世によってイングランド国教会が創始された。大陸では新旧両派の対立が続いた。宗教改革ののち,カトリックは反宗教改革の体制を整え,またイエズス会による海外布教が開始された。新教徒は北アメリカをはじめ,海外に広まり,幕末の日本にもきたが,この間多くの教派に分かれた。最近では全キリスト教会・教派を通じての再一致運動が盛り上がりつつある。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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