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ギリシア

Hellas[古代ギリシア],Ellada[現代ギリシア],Greece[英] ギリシアという呼称はラテン語のグラエキア(Graecia)に由来する。古代ギリシア人はヘラスを用いた。現代のギリシアの正式国名はギリシア共和国(エリニキ・ディモクラティア),通常はエラダと称される。19世紀にギリシアがオスマン帝国から独立すると,歴史家パパリゴプロスによって「古代-中世ビザンツ-近代」という直線的に継続するギリシア民族史観が成立した。しかしながら多くの場合,古代と中世ビザンツはそれぞれ完結した世界と認識され,実際,古代から現代までのギリシアを通史としてとらえることはギリシア以外では稀である。とはいえ,歴史を通じて,バルカン半島南端から東地中海,黒海に至るまで,ギリシア語と東方正教会を背景にした一種同質的なギリシア世界が形成されていたこともまた事実である。古代ギリシアの都市国家は,前4世紀マケドニアによって征服された。アレクサンドロス大王の死後はヘレニズム3王国の一角を占め,前2世紀にはローマの属州となり,ビザンツ帝国の東方キリスト教世界に入った。ヴェネツィア支配のイオニア諸島など一部を除き,バルカン半島南端地域とエーゲ海島嶼部は,15世紀から約4世紀にわたってオスマン帝国の版図に入った。1830年に独立を果たすと,英仏露の保護のもと近代国家の基盤が整えられた。同時に,戦争や外交によって歴史的ギリシアの地を回復する領土拡張政策が推進された。1947年今日の領土が画定した。第二次世界大戦後は,バルカン唯一の西側の国として戦略的に重要視された。軍事独裁をへた74年に君主政が完全に廃止され共和国となった。81年にECに加盟し,今日ギリシアは政治・経済分野で基本的にEUと共同歩調をとっている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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