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五・三〇事件(ご・さんじゅうじけん)

1925年5月30日,上海で起こった反帝国主義運動。25年2月上海の日本人経営紡績工場の罷業は青島(チンタオ)に飛火したが,5月15日上海の紡績工場で一労働者が射殺されたことで再び上海に罷業の波が高まった。22日には6万人の抗議集会が開かれ,労働者,学生は連日街頭で反帝国主義宣伝を行い,租界当局は彼らを逮捕した。労働者の罷業を支援する労働者,学生は,30日逮捕された学生の釈放を要求して工部局,警察署に押しかけた。イギリス人警部の命令で警官は1万人のデモ隊に発砲,多数の死傷者,逮捕者を出した。これに抗議して6月1日全市は総罷業に入り,7日には指導機関の工商学連合委員会が成立し,11日には責任者の処罰,損害賠償などのほか,租界の裁判権その他の特権の廃棄,労働者の権利擁護など17項目の交渉条件が決定された。しかしまず大資本家,ついで中小資本家が戦線から脱落し,総罷業は下旬には終了したが,労働者の対日罷業は9月,対英罷業は10月まで続いた。この事件の影響は大きく全国大都市で支援のデモや罷業が行われ,沙基(さき)事件などを引き起こすに至った。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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