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南北問題(なんぼくもんだい)

一般的に豊かな国(先進工業国)は北半球に,貧しい国(開発途上国)は南半球に位置している。そのため,これら二つの国家集団間に横たわる巨大な経済格差から生じるさまざまな社会的・政治的な諸矛盾,緊張関係が南北問題と総称されている。南北問題は,60年代初めの国際社会の拡大,変化と関係している。東南アジア,中近東,アフリカ,ラテンアメリカなどの旧植民地諸国の独立,先進国から開発途上国への経済援助問題,中ソ対立,米ソの接近などの政治的な動きによってクローズアップされるようになった。64年3月には国連貿易開発会議(UNCTAD)が開かれ,77カ国グループが結成されるなど,南北問題は世界的な課題として認識されるようになった。70年代に入ると,南側諸国は資源主権の確立,工業化など新国際経済秩序(NIEO)の形成を訴えるようになる。しかしNIEOの推進は世界的な不況を招き,80年代以降,先進諸国は不況から脱したものの,開発途上諸国は新興工業経済地域(NIES)と低所得国の格差を生み出したり,債務問題や環境と開発の問題など新たな問題に直面している。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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