ネルー

Jawaharlal Nehru 1889~1964 インドの政治家で,初代インド首相(在任1947~64)。国民会議派の有力な指導者モーティーラール・ネルーの長男として生まれ,イギリスのケンブリッジ大学などに留学し弁護士資格を得る。帰国後,国民会議派の民族独立運動に参加し,たびたび投獄された。マハトマ・ガンディーの非暴力闘争に影響されたが,ネルー自身は近代的政治経済思想の信奉者であった。1947年のインド独立以降64年の死まで首相を務め,国家建設に尽力した。国家建設の基本を穏健な民主主義的プロセスによる公的部門優位の社会主義型社会の建設に置き,3次にわたる5カ年計画を実施した。また国民統合に意を注ぎ世俗主義を定着させようとしたが,急進的な社会改革は行わなかった。アジアの代表的指導者とされ,非同盟運動の形成において指導的役割を果たした。しかし62年の中国との国境戦争での敗北,60年代前半の経済発展の停滞などで失意のうちに晩年を迎えた。優れた歴史認識を持ち,獄中で書かれた『インドの発見』などは有名。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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