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農奴(のうど)

serf[英,フランス],Leibeigene(r)[ドイツ] 領主の支配下で隷属状態に置かれて,さまざまな賦役や貢租の支払いを強制された農民。奴隷ではないが,小作人とは異なり,自由人としての社会的権利が認めらず,生まれながらに領主に人身的に隷属することを強制された。日本では江戸時代,中国では宋代以降の農民のあり方がそれにあてはめて解釈されることもあるが,元来は中世ヨーロッパの不自由農民をさす。彼らは,収穫物に対する貢租のほかに,人身的隷属性を象徴する人頭税や,土地からの移動や相続,婚姻の自由を制限する負担である死亡税(マンモルト)と領外婚姻税を支払わねばならなかった。中世ヨーロッパの農民の一般的形態だったが,領主地ごとに農民の身分的地位や負担が異なっており,農奴制の分布には地域差が大きかった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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