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オリエンタリズム

Orientalism エドワード・サイードが1978年に発表した同名自著のなかで批判した言説と文化的覇権の総体。元来は東洋趣味や東洋学を意味したが,このとき以後「ヨーロッパのオリエントに対する思考および支配の様式」というサイード流の定義が一般に広まった。それによれば,ヨーロッパはオリエント(アラブ・イスラーム世界)を他者とみなし,みずからをこれと対照的な存在と信じることで,自身の力とアイデンティティを獲得してきたという。その過程でオリエントには受動性,非合理性,幼児性,停滞,不誠実などの負の性格が例外なく賦与された。特にヨーロッパが強大化した18世紀末以降は,西洋がその力を背景に東洋を表象し,それを東洋に強制する形での文化的な支配が帝国主義支配の支柱となり,大学をはじめとする諸制度はこれに奉仕してきたのである。サイードによるこのような批判は,他者をいかに表象すべきかという問題を正面から提起したものとして,人文社会科学の多様な分野に大きな刺激を与えている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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