1. 用語
  2. 世界史 -お-
  3. オーストリア

オーストリア

中央ヨーロッパ,ドナウ川中流域の共和国。もと帝国で,神聖ローマ帝国以来の古い歴史を持つ。この地域は民族大移動後,バイエルン部族の支配をへて,フランク王国の直轄下に入り,「オストマルク」と呼ばれた。そのラテン名「アウストリア」がオーストリアの語源。10世紀以来帝国封土としてバーベンベルク家に与えられたが,同家が13世紀に断絶した後,ボヘミア王の支配をへて,1282年ハプスブルク家の支配するところとなった。同家は14世紀以来神聖ローマ帝国皇帝位を独占する一方,結婚政策で領土を拡大,スペインまで広がった領土は16世紀に分割されたが,東のオーストリアはオスマン帝国の圧迫を退け,ボヘミア,ハンガリーも領有するに至った。18世紀には帝国内にプロイセンの台頭を許し,19世紀初頭ナポレオンの圧迫下で神聖ローマ帝国の帝位を放棄,オーストリア帝国を称することになった。ナポレオン没落の際,ヨーロッパ外交の主導権を握ってウィーン会議を主催,保守的なウィーン体制を築いたが,1848年の革命以降,民族主義運動に揺さぶられた。66年のプロイセン‐オーストリア戦争の敗戦後,67年にハンガリーとのアウスグライヒでオーストリア‐ハンガリー帝国(二重帝国)に改組された。その後領内のスラヴ民族問題に悩まされながら,バルカンへの進出を企て,第一次世界大戦を招来した。1918年の敗戦で領内諸民族が独立,オーストリアはドイツ人の共和国となる。38年ナチス・ドイツに併合されたが,第二次世界大戦後,米ソ英仏の分割占領をへて,55年国家条約により独立の中立国として主権を回復,現在に至っている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう