ラクダ

ヒトコブ・ラクダ(dromedary)とフタコブ・ラクダ(Bactrian camel)の区別がある。前者はアラビア半島南東部,後者はイラン北東部かトルキスタン南西部あたりで,いずれも前3千年紀前半に家畜化された。前者は前2千年紀末に駄獣(だじゅう)として利用されるようになり,以降,砂漠越えの隊商交易が盛んになった。後者も内陸アジアのシルクロードで活躍したが,ティグリス,ユーフラテス川流域で前2世紀後半頃に両者の交配から生まれたヒトコブ半ラクダがより優秀であったため,アナトリアからイラン,アフガニスタンにかけての地域ではやがて姿を消した。アラビアでは前2世紀頃より,ラクダ鞍の改良など新技術を導入してラクダ遊牧民(ベドウィン)の戦闘能力が向上した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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