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産業革命(さんぎょうかくめい)

the Industrial Revolution 18世紀後半のイギリスで,木綿工業に始まる広範な産業部門で技術革新が進行し,蒸気機関が動力として採用され,それに伴って社会構造も変化して資本主義社会が確立した現象。ただ,この用語が18世紀後半から19世紀前半のイギリスを超えて広く他の諸国にも適用されるようになるにつれて,そこに多くの疑問が生まれてきている。まずイギリスの場合は,それが外からの力を借りずに自然発生的に生じたものであり,紡績・織布部門における多くの発明が,製鉄・機械工業を刺激し,さらに運輸部門における交通革命を引き起こし,その過程で農村から切り離された労働者が工場に雇用されて都市化が進行したことは,事実であったにしても,その過程が過去との「断絶」による激変であったのか,それとも過去の遺産の上に立つ「連続」的な進化の成果であったのかについては議論が分かれている。またその結果,それまでの農村社会にみられた伝統的な雇用関係を喪失して資本主義的な労働関係に組み入れられた労働者が,資本家の搾取による「窮乏」を強いられて,その「生活水準」が低下することになったかについても論争がある。イギリス以外の後発諸国においては,イギリスの圧力のもとで,それぞれの社会経済的発展をイギリスを目標にして遂行しなければならなかったので,その変革は多かれ少なかれ国家主導型にならざるをえず,これを「産業革命」という概念でとらえられるか否かも問題となる。その傾向が最も強くみられたのは,ドイツ,日本,ロシアの場合であった。「工業化」という言葉は,産業革命の技術的側面に重点を置き,より一般化した使われ方をする。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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