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村落共同体(そんらくきょうどうたい)

village community[英],Dorfgemeinschaft[ドイツ] ムラの成員が何らかの社会的関係を取り結んで共同の生活を営み,その共同性が一代限りでなく何世代にもわたって再生産され受け継がれていくという捉え方をする場合,ムラのことを村落共同体と呼ぶことがある。ムラの成員をつなぐ絆となる社会的関係としては,土地の共有や割り替え,土地の利用に関する規制(耕作規制や売買に関する規制),共同労働,入会地などの共有地の利用,灌漑用水の管理,農民と職人の間の分業関係,同族団的な血縁関係,祭祀,成員の話し合いによるムラの意思決定(寄り合いやパンチャーヤット)などがある。村落共同体は平等な成員からなり,外部から遮断され自立した「小さな共和国」をなすと考えられたこともあったが,現在では,成員の間に著しい不平等がある場合があり,また地域社会に対して開かれた社会システムになっていることが多いことが認識されている。マルクスやヴェーバーの学説に依拠して,前近代社会を説明する基礎理論として共同体論が説かれたこともあった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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