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宋学(そうがく)

宋代に成立した思弁的な宇宙論哲学,またその実践倫理。源流は唐の韓愈(かんゆ)以来の儒・仏・道3教の調和,儒教的人倫強化の思潮にあり,宋学の先駆は名節と家族道徳を重んじた范仲淹(はんちゅうえん)である。その後,宋学の祖周敦頤(しゅうとんい)が『易経』(えききょう)と『中庸』に老荘・道教思想を加えて仏教哲学で調整した。その後張載(ちょうさい),程頤(ていい),程顥(ていこう)が発展させた本体論・心性論の系譜と,欧陽脩(おうようしゅう),司馬光が大義名分論・経典批判に立って唱えた歴史主義とが,朱熹(しゅき)によって集大成され,宋学が完成した。宋学は宇宙の理法が人間の則るべき規範であり,天与の道徳性の実現が人倫の道であるとし(性理学),道統を重んじ四書によって儒教精神を発揮し(道学),仏教が否定した人倫と礼とを回復して新たな政治・社会体制に思想的支柱を与えるものであった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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