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大躍進(だいやくしん)

1958年から毛沢東により開始された中国の急進的な農工業の同時増産運動。この過程で農村に人民公社が誕生し,全国に伝播した。本来58年からは第2次五カ年計画が予定されていたが,第1次五カ年計画で確立された「進んだ」社会主義体制と「遅れた」生産力の矛盾を解消するため,毛沢東は人間資本と精神主義にもとづく生産増強運動を発動した。土法高炉(どほうこうろ)と呼ばれる非科学的な鉄鋼増産や無謀な農業増産を計画したが,最終的には自然災害や中ソ対立によるソ連人技術者の引き揚げなども加わって,大躍進は未曾有の経済困難を招来し,約2000万人といわれる餓死者を生み出すに至った。その結果,60年代初頭の数年間は経済調整を余儀なくされた。しかし問題が顕在化した59年夏の廬山(ろざん)会議において,大躍進を批判した彭徳懐(ほうとくかい)国防相は毛沢東の怒りを買って解任され,それ以後大躍進に対する直接的な批判は御法度となった。大躍進と経済調整の評価をめぐって党内に政策意見の分岐が起こり,それがその後の文化大革命の伏線となる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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