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大乗仏教(だいじょうぶっきょう)

マハーヤーナ。インドで先行する部派仏教(小乗仏教)の独善性,形式化,保守性を批判して,みずからの立場を普遍性のある「大きな乗物(マハーヤーナ)」と標榜する,紀元前後頃から興った新しい仏教運動。『法華経』(ほけきょう)『阿弥陀経』(あみだきょう)『般若経』(はんにゃきょう)『華厳経』(けごんきょう)などの経典にもとづき,空(くう)思想を強調し,肉身を超えた法身(ほっしん)仏を信仰し,人間に本来的な如来蔵(にょらいぞう)の具備を説き,誰にでも実践可能な易行道(いぎょうどう)を説き,仏塔を崇拝し,在家(ざいけ)信者を優先させ,悩み苦しむ大衆の救済を優先する利他と慈悲の菩薩道(ぼさつどう)を説くなど,教理および実践面で数々の特徴がある。ナーガールジュナ(竜樹(りゅうじゅ))の中観(ちゅうがん)派とアサンガ(無著(むじゃく)),ヴァスバンドゥ(世親)の唯識(ゆいしき)派が主流学派を形成した。西域,チベット,ネパール,モンゴル,中国,朝鮮半島,日本などアジアの広範な地域に伝播され,各地で固有の展開を示し,北方仏教の大勢を占めるに至った。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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