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第三帝国(だいさんていこく)

Drittes Reich ナチスの支配体制をいう。1933年1月成立。国会議事堂放火事件によってナチスの独裁体制が確立し,3月の全権委任法によって,ヴァイマル憲法は無効となった。34年6月末にはレーム以下が粛清されてエス・アー(SA)の大衆的組織が無力となり,代わってエス・エス(SS)が台頭した。ナチス独裁によって国民は画一化され,指導者原理によって「上部に対する服従,下部に対する権威」の体制がとられ,地方分権制は廃止され,ナチ党幹部がドイツ国家機構を独占して国家と党を画一化した。経済上では土木事業によって失業者を救い,ついで軍需生産と軍備の大拡張が始まった。農業上では世襲農場法が発布されて中農と大農の農地と生活が保護され,農産物価格の安定が図られ,工業上でも合成ゴム,人造石油その他の生産が進められて自給自足経済が進展した。しかし戦争準備体制であったから,有能な経済人の協力を得て生産力は急増したものの,しだいに生活の窮乏の危険が迫った。反ナチス派を大量に捕えて強制収容所に送り,拷問したり殺害した。外交はイギリスの支持を得たので成功し,35年に軍備を数倍にし,36年ロカルノ条約を破棄し,38年オーストリアとズデーテンを併合,39年には東欧諸国を征服してヨーロッパを制覇するために第二次世界大戦を引き起こし,45年滅びた。なお「第三帝国」の呼称は,第一帝国(神聖ローマ帝国)と第二帝制(ドイツ帝国)を超える,ドイツ民族の新しい「第三帝国」の意味で一般化したが,ナチ当局は39年以後公式には「大ドイツ帝国」の呼称を用いている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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