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大航海時代(だいこうかいじだい)

15~17世紀に,ヨーロッパ諸勢力がポルトガル人の西アフリカ航路探検を前提として,世界各地に大航海を行って拠点をつくり,資源の開発,通商網の組織化と支配などを通じて政治的優位に立った時代。かつては「地理上の発見の時代」と呼ばれた。1492年のコロンブスの大西洋横断航海を起点に三つの時期が区分できる。(1)16世紀前半,スペインとポルトガルが,トルデシリャス条約によって世界を分割し,アメリカ大陸を占拠して支配体制をつくりあげ,またポルトガルがゴア,マラッカなどに基地をつくってインド洋通商圏に割り込み,香料貿易の独占を図った時期。(2)16世紀後半,イギリスがスペイン領アメリカや太平洋に侵入を開始し,銀資源をねらって私拿捕(しだほ)船の活動による略奪を行った時期。(3)1581年に独立したオランダが,カリブ海やブラジルに侵入を試み,アジアのポルトガルの重要拠点を奪取すると同時に,オーストラリアやオセアニアの探検を行った時期。17世紀前半がこれにあたる。17世紀後半以後は,スペイン,ポルトガルが脱落し,イギリス,フランス,オランダの制海権抗争の時代となるので,大航海時代とは区別して扱ったほうがよい。大航海時代の最大の特色は,大西洋世界が貿易圏として統合され,アジアを含む世界システム形成の基礎をつくったことにある。大航海時代の前提としては,地中海におけるイタリア港市の興隆とそれと平行した西ヨーロッパの商業の活性化,さらにはそれらに刺激を与えた,10世紀以後のインド洋‐南シナ海圏における商業と貿易の画期的な発展があった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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