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敦煌(とんこう)

Dunhuang 中国甘粛省最西端の町。豊かな放牧地であった河西を開拓した前漢王朝の敦煌郡設置に始まる。住民は漢人を主体とする多様な民族からなり,生業として農業,商業とともに牧畜業も活発であった。中国からみれば,当初,西域への門戸として機能していたが,唐代には幹線ルートから外れ,ローカル化した。786年には吐蕃(とばん)の支配下に置かれるが,848年,帰義軍(きぎぐん)が蜂起し張議潮(ちょうぎちょう)が敦煌を掌握した。その後,帰義軍節度使として,張議潮の一族および914年以降には曹仁貴(そうじんき)(議金)の一族が,11世紀の初めまで敦煌を支配した。曹氏の支配時代は,張氏の時代に比べて自立化を強め,周辺諸国と積極的な外交関係を保ったが,1035年頃,敦煌は西夏によって占領された。郊外の莫高窟(ばっこうくつ)から「発見」された敦煌文献は,ほとんどがこの時代までに作成されたものである。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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