トハラ

中央アジアの地名。玄奘(げんじょう)の『大唐西域記』によれば,現在のアフガニスタンの北部に覩貨邏国(トハリスタン)と呼ばれる国が記されている。『史記』の大宛伝にみえる大月氏(だいげつし)に滅ぼされた大夏(たいか)もトハラにほかならない。その中心は古代はバルフ,中世にはクンドゥズに置かれ,東西交通の要衝として栄え,バクトリア王国,大月氏,クシャーン朝以来,政治・文化の中心をなした。覩貨邏国の文語として,ギリシア文字表記のバクトリア語(イラン系の言語)が用いられていたが,資料そのものは支配領域内外から多く出土している。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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