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ドナウ川(ドナウがわ)

Donau ダニューブ川ともいう。ヨーロッパの中部・東部を流れるヨーロッパ第2の大河。ヴォルガ川に次ぐ。ドイツに発し,オーストリア,ハンガリー,スロヴァキア,ユーゴスラヴィア,ブルガリア,ルーマニアなどを流れて,黒海に注ぐ。古代ローマでは国境線として,中世および近世には軍隊の通路や商業路として,19世紀には国際的水運の動脈として重要な役割を演じた。19世紀の中頃から中部・東部ヨーロッパの民族運動の高揚と衝突のなかで幾度かドナウ連邦案が打ち出された。クリミア戦争後の1856年のパリ条約によって国際河川として列強の航行の自由が保障されたが,沿岸の諸民族はこれに参加できなかった。78年のベルリン条約はこの自由航行の原則を確認した。第一次世界大戦末期に沿岸諸民族は河川管理の回復運動を起こしたが実らず,第二次世界大戦後の1948年のベオグラード会議において,航行の自由と沿岸諸国の武装の自由が保障され,今日に至る。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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