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独裁(どくさい)

dictatorship 一人または特定の集団に権力を集中し,多数決制度を無視または形骸化して人民を支配統率する政治形態。専制とまぎらわしい語であり,歴史家のなかでもしばしば混同されている。専制と違うのは,なんらかの形で民衆の実質的支持を持っていることを積極的に主張する点である。独裁は必ずしも民衆の利益に反するとは限らず,たんなる権力の形態である。独裁の起源は古代ローマの共和政のもとで,戦乱など国家危急の際,一人の独裁官に6カ月までの期限をつけて非常の権限を与えたことである。さらに共和政末期には,軍隊の力を背景としてスラ,カエサルなどの独裁者が出現した。ピューリタン革命時代のクロムウェル,フランス革命時代の山岳派は市民革命期の革命独裁を行い,社会主義圏の諸国家もプロレタリアート独裁をはじめ種々の独裁形態を持つ。国民ファシスタ党,ナチ党の政権は危機にある資本主義国家の反動的独裁であった。第二次世界大戦後の第三世界には軍部中心の開発独裁がみられた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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