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道教(どうきょう)

中国の宗教で,儒教,仏教とともに三教と称せられる。その起源は,後漢末の張陵(ちょうりょう)の五斗米道(ごとべいどう)(天師道)にある。これは病気の原因を人の罪に帰して懺悔を勧めるもので,この教えは魏晋時代には農民だけでなく貴族階級の間にも広まった。他方貴族の間には本来老荘的な修養と,不老長生を願い丹薬を錬る神仙術が流行しており,これが晋の葛洪(かっこう)により集大成されて,天師道に影響を与えた。さらに仏教を参酌して,より王朝支配と官僚社会に適合するものになったのが,北魏の寇謙之(こうけんし)や南朝梁(りょう)の陶弘景(とうこうけい)のときである。以後王朝の保護を受けて仏教と対立した。のち金代の華北に王重陽(おうじゅうよう)が出てこれを改革し,全真教を始めた。それは錬丹(れんたん),長生よりも修養を重んじたが,一方で旧来の道教も正一教(せいいつきょう)と称せられて,依然江南で流行した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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