ヴェルサイユ体制(ヴェルサイユたいせい)
第一次世界大戦後,ヴェルサイユ条約を中心とする一連の講和条約を基礎に成立したヨーロッパの国際体制。太平洋地域のワシントン体制とも密接に関連して,第一次世界大戦後の1920年代の国際関係を規定した。イギリス,フランスなど戦勝国の利害追求が支配する一方,ドイツなど敗戦国の領土削減,軍事的弱体化が図られた。民族自決の原則のもと,東欧,バルカン諸国の独立が承認されたが,それはドイツを包囲する一環としての面を持つ一方,革命ロシアに対する「防疫線」という面もあわせ持った。イギリス,フランス,アメリカ,日本など帝国主義戦勝国はアジア,アフリカへの植民地支配の継続を前提とし,委任統治方式で旧ドイツ領植民地やオスマン帝国領の再分割を行った。イタリアは戦勝国側に立ちながら講和会議を通じて領土拡大を果たし得ず,やがて国民ファシスタ党政権成立とともにヴェルサイユ体制の反対者の側にまわった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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