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我われの尊厳は考えることにある。我われはそこから立ち上がらねばならない。

フランスのモラリスト・科学者 パスカル『パンセ』

広大な宇宙の空間と時間の中で、今、ここに生きている自分は無にも等しい矮小な存在である。しかし、その小さな人間が、宇宙はいかに大きいか、自分がいかに小さいか、その小さな自分が大きな宇宙の只中に生きていることを知っている。宇宙は何も知らない。パスカルは考えることの偉大さから、立ち上がろうと呼びかける。人は考えるがゆえに悩み、悩むがゆえに考え、苦戦する。何も考えなければ、いかばかり楽だろう。しかし、頬に拳をねじこんで考えるロダンの彫刻『考える人』のように、自分で考えぬくところに人間の寄って立つ足場があり、そこに人間の尊厳がある。自ら考えるという足場をもたず、ただネットで他人とつながるだけに安心感を求める現代人の心の脆弱さよ。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、31ページ、2015年、山川出版社

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