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  2. 愛とは外部の原因の観念をともなう喜びである、憎しみとは外部の原因の観念をともなう悲しみである。

愛とは外部の原因の観念をともなう喜びである、憎しみとは外部の原因の観念をともなう悲しみである。

オランダの哲学者 スピノザ『エチカ』

人はみずからに喜びをもたらす原因となるものを愛し、悲しみの原因となるものを憎む。スピノザによれば、人間は自己を存続させようとする本性をもち、喜びとは人間がより小さな完全性から、より大きな完全性へ移行することに生まれる感情であり、悲しみとはその逆である。とすれば、つねに人の存在を肯定し、その成長を願い、その人がより大きな完全性へと近づくことを助け、人に喜びをもたらす原因になれば、愛される人になれよう。逆に自分の考えばかりを主張して得意になり、他人を押しのけ、軽んじ、他人の欠点をあげつらって人に悲しみをもたらす原因になれば、人から敬遠されよう。自分はだれからも理解されない、愛されないと愚痴をこぼす人は、まず自分が人の喜びの原因となるように振る舞っているか、みずからを省みてみよう。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、50ページ、2015年、山川出版社

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