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巧みに飾った言葉や、表情たっぷりの顔色の中には、本当の思いやりは少ないものだ(巧言令色、鮮なし仁)。

古代中国の思想家 孔子『論語』

世の中を渡ってゆくには社交辞令、お世辞、お愛想、美辞麗句も必要である。でもそれだけで終わるなら人生は淋しい。おたがいに率直に語りあい、みずからの真意を伝え、ともに喜び、悲しめる人間関係を作りたい。どうしようもない苦悩に落ちこんだ時、一人でもそのような友がいれば救われるものである。友人は喜びを倍にし、悲しみを半分にする。よい友や同僚に恵まれないと嘆く人がいる。しかし、人との絆は時間をかけてみずからが醸成していくものである。つねに相手への思いやりをもち(恕)、相手を信頼し(信)、みずからに誠実であること(忠)、そこから孔子の教えの核である仁、すなわち人と人を結ぶ絆、人間愛が醸し出される。よいものを醸成するには、時間と手間をかける覚悟が必要である。即席にできたものはすぐにメッキがはげる。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、52ページ、2015年、山川出版社

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