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人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である。

小説家 芥川龍之介 『侏儒の言葉』

冷めた目で、あえて人生をつきはなした言葉である。ニーチェは人生には少量の毒も必要だと言ったが、人生には、あたかも濃厚な味の料理にふりかけるスパイスのように、ニヒリズムのもつ虚無感、シニカルな冷笑が必要な時もある。仕事に失敗して上司から叱責されれば落ち込むが、たかが仕事、たかが上司、それで自分の人生終わりになるわけではない。長い人生の一コマ、たかがというつきはなした目で見て、熱くなりすぎた頭を冷やし、いきづまった思いをときほぐし、酒を飲んでくだをまくのもよし、カラオケで大声で歌いまくるのもよし、また新たに気持ちを入れかえて一からやりなおしていこう。受験も仕事も結婚も同じである。我われは生きるのが仕事、この人生には首をくくらねばならぬようなことなどない、とにかく生きておればよしと開き直ってみよう。死はいつか向こうから勝手に迎えにやってくる。こちらから、あわてて迎えにいくことはない。たかが人生、されど人生、ふてぶてしく生きよう。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、35ページ、2015年、山川出版社

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