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文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ

いま、新しい形の世界史本が売れています!
歴史ファンはもちろん、現代に生きるすべての人々にとって、激動の時代を自ら考え、生き抜く助けになります。歴史と教科書の山川出版社が、とりわけ最前線で活躍するビジネスパーソンにおすすめする一冊です。

21世紀で活躍するあなたが本書を読むべき理由

20世紀はテクノロジーや社会システムが大きく進化し、人類が世界共通の文化・文明「グローバル・システム」を手に入れた時代。米国やヨーロッパ(西欧圏)がさまざまなイノベーションを起こし、世界をリードしてきました。

しかし21世紀、パワーバランスは変わります。下のグラフをご覧ください。

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※PwC調査レポート「2050年の世界」より経済規模で見た世界上位32カ国から西欧とアジアの各11カ国を比較

上記のデータでは、経済規模は既に西欧ではなくアジアが優位。約30年後にはアジアが西欧圏の2倍の経済規模を持つようになります。

と、なれば西欧圏発の文明・文化をベースにしてきたグローバル・システムも変化します。アップル社やグーグル社がシリコンバレーで世界的な企業になったように、アジアの一隅から世界を変えるビジネスが次々と生まれるでしょう(すでに上海などはそうなっているかもしれません)。

そんな時代を迎える今、従来とは違った角度から世界を見る必要があります。そのために、歴史は有効なアプローチのひとつです。

moji-lp3.png西欧優位の文化・文明の中で書かれた歴史から、新しい時代を見据えた歴史へ。21世紀を生きる日本人が、新しい切り口で世界史の見取り図を描きました。

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文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ
鈴木董(著)
2,160円
単行本(ソフトカバー): 394ページ
出版社: 山川出版社 (2018/9/1)

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4大文明の起こりから、現代のグローバリゼーションまで、世界史を通して読むことができます。社会人の教養として通史を学びたい読者には、十分目的を果たせる一冊です。

さらに、21世紀を生きる日本人がこれまでにない切り口で世界史を綴っているのが本書です。現代を生きるためのヒントが凝縮され、ことにグローバリゼーションの中で対応を求められるビジネスパーソンにとっての示唆に富んでいるのです。

本書の3大ポイント「文字」「組織」「考える」

moji-lp4.pngこれまでの世界史は、地域や民族、言語、国家などの単位で世界を理解してきました。本書ではさらに文字を共有する人々「文字世界」の概念を加え、それぞれ文明、文化の変遷を考察しています。

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例えば、日本と中国は、まったく流れの異なる言語を使っています(日本語はアルタイ語に近いとされるが、中国語はシナ・チベット語族で言語系統が違う)。一方で、文字は「漢字」を共有しています(漢字世界)。
漢字は4世紀ごろに、日本に伝わったとされます。と同時に漢字で表現される漢語が伝わり、それまでになかった語彙が日本に入ってきます。
「語彙の共有は、思考と表現の媒体の共有であり、各文化世界内における文化的共通性を醸成していく際に、決定的な役割を果たした」(著者)
「文化・文明語の共有というところから始めて、それを綴る文字と綴られる新概念が入ってくる」(著者)
確かに、私たちは漢字によって多くの概念を表現し、理解しています。ここまで述べてきた「文化」「文明」「歴史」なども、中国から来た漢語であり、漢字で示される概念にほかなりません。

moji-lp5.png 本書では、組織を「目的達成のための協働のシステム」と定義しています。家、都市、宗教、国家……人類はさまざまな組織を生み出してきました。

本書では、科挙を代表とする人材登用システム、現代企業に通じる日本的「家」制度など、あらゆる組織を取り上げています。この視点は、特に組織の運用が成否を分ける現代のビジネスパーソンにとって、示唆に富んだ分析になっています。

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インターネットには、「まとめ記事」をはじめ、すばやく情報を入手できるコンテンツがあふれています。また、書店には鮮やかな切り口で情報を整理したハウ・ツー本が並んでいます。

情報がスピーディに流れる現代にマッチしたコミュニケーションですが、誰かがきれいにまとめた知識・ノウハウに、少し重心が偏ってはいないか?と私たちは懸念しています。役に立つ情報を「もらう」だけでなく、情報をヒントに「考える」本が増えても良いのではないかと。

著者の分析を受け取るだけでなく、読者自身が歴史を考えられるのが本書の醍醐味です。2回、3回と読み返す度に、違った視点で読むこともできます。長く手元に置いて、ヒントを提供してくれる一冊です。

過去の出来事がどのように現代につながり、未来をつくっていくのか? 想像力の翼を拡げ、自分なりの歴史観を構築する楽しさを味わってください。

『武士の家計簿』『日本史の内幕』の著者・磯田道史さんも絶賛! ! 

たった1冊で全世界の人類史を語る本など、そうそう書けるものではない。古くはトインビーがそれをやった。
文明史である。近年では、ハンチントンが「宗教」、トッドが「家族」、梅棹忠夫が「生態」を切り口に、
人類を幾つかの「文明」にわけて人類史を語った。

しばらく、そんな壮大な文明史を書く学者は日本に現れまいと思っていたが、本書が出た。

〜毎日新聞書評より〜

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目次

はじめに ―新しい「比較文明史」のスケッチ
第1章 「文明」と「文化」、そして「文字」とは
第2章 文明としての「文字」と「組織」の出現
第3章 四大文明の形成① メソポタミアとエジプト
第4章 四大文明の形成② ヒンドゥー世界の拡大、唐朝「支配組織」の比較優位
第5章 「西欧・東欧の源流」としてのギリシア・ローマ世界
第6章 イスラムの出現と「アラブの大征服」
第7章 イスラム世界の「支配組織」と異文化共存システム
第8章 現代に続く「五大文字世界」の定着から「モンゴルの大征服」の衝撃へ
第9章 アジアの圧倒的比較優位の時代
第10章 「大航海」時代と西欧による異文化世界への進出
第11章 「西欧キリスト教世界」内の文化変動
第12章 西欧世界の「文明」的比較優位の進展
第13章 「王権神授説」から「国民主権」へ 市民革命と立憲主義
第14章 西欧世界はいかにして圧倒的比較優位を確立したか
第15章 諸「文字世界」は「西洋の衝撃」にどう対応したか
第16章 二つの革命と大戦 帝国主義時代と共産主義体制の登場
第17章 「普遍的」イデオロギーから「特殊的」ナショナリズムへ 「東西冷戦」体制とその終焉
第18章 「ネイション・ステイト」と「ナショナリズム」を克服する試み

文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ
鈴木董(著)
2,160円
単行本(ソフトカバー): 394ページ
出版社: 山川出版社 (2018/9/1)

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