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大切なことは一人で決めてはならない。必ず多くの人びとと議論せよ。

飛鳥時代 聖徳太子『十七条憲法』

人は自分の視点から物事を見る、自分の知識や経験を中心に判断する、そこにはどうしても偏りが生まれる。我われは自分の見解に執着するが、どのような見解もひとつの視点から現実を見たものであり、現実はつねにそれ以上の内容をもつものである。そのような人間が、自分一人で全体にかかわる大事なことを決められるか? 聖徳太子の人間観である凡夫の自覚、すなわち人間は正しい時もあれば、誤る時もある平凡な存在であるという自覚のもとに、それぞれの立場をこえて率直に意見を出しあい、他者の意見に耳を傾け、議論をとおして最善の道を探るべきである。一つの視点しかもたない人間が、多くの視点を集めてものごとを見つめれば、真実が見えてくる。それが議論することの存在理由であろう。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、56ページ、2015年、山川出版社

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