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人は日々の出来事の上で、自分を練り磨くべきである(人は須く事上にあって磨練すべし)

儒学者 王陽明 『伝習録』

日々の煩雑な仕事に追われて何かを学ぶことができない、スキルアップの機会がない、このままで自分は終わるのかと思い悩む。しかし、その日々の仕事そのものがおのれを鍛え、磨く場である。そこから逃げ出して、どこでおのれを鍛えるのか? 事上磨練、日々の仕事の上で自己を練り磨け。家業に忙しく学ぶ時間がないと嘆く弟子に、王陽明はそのように叱咤激励した。知行合一、知りつつ行い、行いつつ知る、毎日の生き方そのものが学びの場である。王陽明自身も、権力を私物化する貴族を諌めたために僻地に左遷されたが、復帰後は盗賊の退治に功績をあげるなど、波瀾万丈の人生を歩みながら、その中でおのれの精神を鍛えた行動の人であった。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、29ページ、2015年、山川出版社

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